土佐VS市商 伝統の一戦 ② 完結編

 度重なるピンチにも動揺せず、スコアリング・ポジションにランナーを背負うとピッチングのギアを上げて相手打者を打ち取っていく土佐高エースの横田君。頼もしいことこの上ありません。

 マックス136㎞のストレートは威力十分。内外角に投げ分け、時折スライダーも織り交ぜ、ここぞの場面では三振に切って取り、ピンチをしのぎ切っていきます。

 外野守備陣の位置取りも正確で、相手打者の特徴を分析し、ヒット性のライナーを際どく好捕することが何度もありました。内野守備も上等で、特に無死1塁で高知商6番西村君の絶妙のセーフティー気味の3塁前送りバントを、3塁者がダッシュ良く拾い上げ、1塁に送球のワンバウンドを1塁者がナイスキャッチ。守備力の向上を確かに感じました。

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 すべての選手が気魄を横溢させ、ぎりぎりのプレーでピンチを脱し、接戦に持ち込むも、結局最後には寄り切られる。これは、選手層の厚さや集まった選手たちの素質や力量の違いはもちろんありますが、それを言っても致し方ないので、そこ以外に要因を探すと、やはり、土佐高打線のパワー不足が上げられます。

 みんなよく振り込んで、スイングは鋭く、ミートする技術は持ち合わせています。選球眼も上等で、高知商の赤沢・真城両投手から四球を選んでチャンスメイクします。そんな得点機に、ナイスバッティングでやった~と思う打球が外野に飛んでも、途中で失速するのです。これはやっぱり、市商の投手の球の威力に押されているからだと思われます。

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 いい当たりで外野に飛び、勢いを落とすことなく伸びていく打球をかっ飛ばせるように、パワフルな筋力を是非とも育て鍛えてほしいと思います。

 そして、もう一つは、何と言っても、高知商三遊間の鉄壁の守備力の存在です。ランナーを1塁に置いての次打者の放った痛烈な打球は、抜ければ1・2塁か、1・3塁と得点機が広がるところを、当たり前のようなファインプレーでのダブルプレー。一瞬にして土佐高の好機がついえ、流れが市商側に傾くのです。3塁手の美技もしかり。

 それでも、高知商戦は、今持てる土佐高の実力を発揮できた立派な戦いぶりでした。何より、格上の強敵相手に気魄では一歩も引くことなく、自分たちの実力を出し切る試合内容は、土佐高らしさに満ち溢れています。精神の強さを感じさせてくれたことは、土佐高ファンとしてはとても嬉しかったです。

 一球にかける土佐野球。気魄の土佐。敢闘精神ほとばしる純白のユニフォームが春野球場を駆け巡り、夏に明徳義塾高を打ち破り、甲子園でも山梨学院高、慶應義塾高を撃破して、かつての強さを取り戻した強敵・高知商に、7回まで互角の戦いをしてくれたことは、大いに評価できます。立派な試合ぶりでした。


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 さて、今日は明徳義塾高との3位決定戦。第1シードの明徳義塾高は、四国大会出場に向けて全力で勝ちにきます。大きな実力差は否めませんし、土佐の絶対的なエースである横田投手に先発させ、全力投球を2日連続で強いるわけにはいきませんので、勝利は求めません。

 2番手以下の投手の継投で、明徳打線の目先をかわすピッチングをしてほしいですね。

 監督が代わった高知高に準決勝で敗れた明徳義塾高は、夏の決勝でプロ注目の市川投手を擁しながらも高知商に大敗を喫しています。馬淵監督の神通力も通じなくなった感があり、明徳天下の終わりを予感させられます。

 しかし、四国大会での捲土重来を期す明徳義塾高は全力で四国切符をつかみにきますから、土佐高はその意気込みに負けぬファイトで立ち向かい、欲を出したり、焦ったりせず、一つひとつのプレーを堅実にこなし、自分の持てる力を存分に発揮してくれることを願います。

 平常心での戦いで、昨日の高知商戦同様に終盤まで競る試合を期待するものです。ふるえ~、ふるえ~、ふるえ~土佐高~!