リリーフ陣のメンタル強化が課題の土佐高 ② 完結編

 自分の実力を出し切って投げ込んだ球を痛打されての失点なら、これほどの悔しさはつのりません。勝負する前に自分に負けた自滅のピッチングが情けなく、応援するものとして歯がゆいのです。

 3ケ月前、夏の選手権の県予選・準決勝では、横田投手は明徳義塾高にやすやすと攻略を許し、0-8の7回コールド負け。その悔しさをバネに鍛錬し、短期間に急成長し、高知商明徳義塾高の打線にも通用し、土佐が勝利できるかもと期待を持たせてもらえるまでになってくれました。

 しかし、1枚看板では、限界があるのがありあり。2番手以降との実力差は明らかで、来年の夏までに2枚看板となれる投手の育成が課題として浮き彫りになりました。

 秋季大会の試合日程は、序盤~中盤は1週間ずつインターバルがあって、1枚エースの高校でも投手が肩を休めることができて、常に疲労なく万全の体調で投げることが可能ですが、日程の詰まった夏の予選ではそうはいきません。

 連投で勝ち上がると、終盤の3強との対戦の頃には疲労が蓄積し、簡単に攻略を許してしまうことになるでしょう。

 2番手・3番手の投手たちの奮起を期待したいですね。今回のメンタルの弱さを露呈してエースが奮闘粘投して作った試合を、たった1イニングでぶち壊しにしてしまった悔しさと責任感を胸に刻み、常に一球に精魂傾け、集中力を高め、目の前の打者に対して自分の持てる力をすべてぶつけていける心の強さを養い、培ってくださいね。


 最後に、首脳陣に苦言を呈します。昨年夏の選手権では、力投のナイスピッチングで楽勝ペースだった宿毛工戦で、3-0の8回表にシャットアウト確実だったエース尾崎君を降ろし、2番手に継投させ、四球の連続で4点を奪われ、2回戦で敗退した「継投判断ミス」があったことは記憶に新しいです。


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 また、昨秋の四国大会県予選2回戦(=初戦)では、檮原高に対して12安打を放ちながらも1点しか奪えず、1-3で敗れ去りました。12安打で1得点は、ベンチ采配に問題があるのは明らかです。

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 今回の明徳義塾高戦でも、エースを同点の5回を限りに温存するなら、いっそのこと先発は2番手で、エース横田君は抑えに使うべきでした。私が監督なら、序盤に2番手が打ち込まれるリスクはあったとしても、そういう戦術をとりました。結果論ではなく、前日にもそう書き込みました。

 昨年夏、秋、今年の秋。勝負所での判断ミスが命取りになる試合が、こうも続くと、指揮が適切でないように思われますがどうでしょうか。

 常に試合場に足を運び、この目で試合を確かめ、応援をしている目から見ると、「船頭多くして船山に上る」のきらいがあるのは否めません。

  試合前の円陣でのミーティング、外野守備の位置取りの指示、ピンチの際にマウンド上にバッテリーと内野陣が集まる時の伝令への指示伝言。これらの際に、監督が出てこずに、部長が表立って動くというのはどうなんでしょうか。

 さらには、怒気をはらんだ大声での掛け声。気合を入れる狙いが、選手たちに余計なプレッシャーを与え、逆効果になってはいないかを、検証すべきときが来ていると強く感じます。ベンチの中から、あれほどの高音の大声で怒鳴る必要があるでしょうか。

 スパルタ方式で、叱咤激励し、怒号を練習中や試合の最中に浴びせて気合を入れて集中させるという選手育成は、昭和の指導の遺物であり、時代遅れのそしりは免れません。籠尾イズムの継承も捨てきれないでしょうが、新しい時代にはやはり、新しい選手育成のノウハウの研究と研鑚と実践が必要不可欠だと思われます。

 昭和は遠く、平成時代も終わりを告げるのですよ。

 この春には、2年生部員の大量退部という土佐野球ファンとしては、信じ難く、許しがたい緊急事態が発生したと聞きます。どういう部内の事情があったのかは、部外者の私には知る由もありませんが、文武両道を果たし、甲子園出場も本気で狙える土佐高野球部に、夢と希望を持って入部してくれた球児の「志」と「ドリーム」を失くさせた責任は軽くは無いと、土佐高野球をこよなく愛するファンとしては強く訴えたいです。

 土佐高で野球をやりたかった元球児たちの心中を慮ると、気の毒でなりませんし、素晴らしい素質を持った彼らが部に居続けていてくれれば、ひょっとしたら、高知商明徳義塾高を打ち破れたかもしれないという儚(はかな)い夢をつい見てしまう秋の夕暮れであります。