土佐高の粘り及ばす、高知高に惜敗

 直接には「甲子園出場がかかっていない」試合だったので、興奮と緊張のあまり血圧が最高潮に達してぶっ倒れることはなかったですが、もし今日の準決勝が秋季大会や夏の選手権だったとしたならば、心拍数・血圧ともに最高に達し卒倒していたかも…。そんなことを思わせられるほどのスリリングかつエキサイティングな試合展開でした。

 まずは、土佐高の選手の皆様には、「粘り抜いてよく戦った!」と誉めてあげたいという気持ちでいっぱいです。序盤の様子を見ていると、高知高優勢で、正直、「下手すりゃあ、一方的展開になってコールド負けするかもしれん…。」という悪い予想が頭をよぎりました。

 今日、初先発の1年生・萩原君が、ゆったりとしたフォームから伸びのある速球で高知打線に対してビッグイニングを作らせず、中盤まで3失点でリリーフの同じ1年生・長野君にスイッチ。長野君は、高知打線に的を絞らせず、味方外野守備陣の美技にも助けられて、高知打線をシャットアウトし、追加点を与えません。1年生両投手の踏ん張りで、試合を作ります。

 しかし、高知高エースの長身から投げ下ろす速球に押されて、土佐打線は、6回まで4番柴田君のレフト前一本のみ。ヒットが一本しか打てないため、チャンスすら作れない有様で、「このまま完封されてしまうのだろうか」とまたしてもネガティブな思いに包まれます。

 やっと反撃に出たのが、7回裏。1番・内田君、2番・井上君の単打・2塁打で願っても無い追撃のチャンス。ここで、3番・馬場君が凡打、期待の4番・柴田君はセンターに犠牲フライで、ようやく1点を返しました。相手の中継プレーの乱れをついて井上君がサードを狙いますが、暴走気味となりあえなく憤死。

 3-1と息を吹き返し、接戦に持ち込んだ土佐高は、長野君の粘りのある投球に、無死で与えた四球のランナーを送りバントスコアリングポジションに送られても、焦ることなく後続を抑えきり、8回を終えました。

 悔やむべきは、9回表の痛恨の失策。ここまでは泥臭くも堅実な守備で、ノーエラーで来ていたのですが、1塁手の手痛いエラーが出た上に、牽制悪送球で3塁まで進まれたランナーを、スクイズで返され、勝負あったかにみえる4点目を奪われました。

 しかし、ここであきらめないのが最近の土佐高野球。ラッキーな振り逃げのランナーがノーアウトで出塁。代打で登場の、今大会では出番のなかった尾﨑君が代打で登場。しぶとく際どい球を見極めて四球で出ました。尾崎君は代打で出場できるのですから、故障は回復に向かっているのかもしれないなとちょっと安心。

 高知高のエースが浮き足立ち、またしても四球で、1死満塁となり、最終回の絶好機にはめっぽう勝負強い3番・馬場君の3塁強襲ヒットで待望の2点目を奪います。なお、1死満塁で4番・柴田君を迎え、土佐応援サイドの盛り上がりは最高潮。一方的展開になるかもしれないと予想した試合は、ラストシーンでクライマックスを迎え、1打同点、長打なら逆転サヨナラのスリリングな場面を迎えます。

 カキン。センターに抜けるか…という当たりを、守備範囲の広い高知高のショートが好捕し、6-4-3のダブルプレー。万事休す、で土佐高の新人戦、準決勝敗退が決まりました。後一本が欲しかったですが、遠かった。本当に惜しかったです。

〇高知球場 【準決勝】

 高 知 001 200 001 = 4
 土 佐 000 000 101 = 2

[高知]黒岩-西山
[土佐]菅原、長野-柴田
三塁打〉田中(高知)
二塁打〉井上(土佐)

 しかし、今日の試合は収穫がありました。まずは、1年生の菅原君・長野君が高知打線にも通用する好投球を見せてくれたこと。次に、外野守備が堅いこと。そして、5番・山本君があわやホームランかという飛球をレフトポール際に飛ばし、長距離ヒッターが柴田君の後にも控えていることが分かったこと。

 さらには、四国大会レベルの高知高に対しても、気魄で挑みかかり、劣勢の試合でもずるずると引きさがらず、耐えて、しのんで、粘って、後半まで試合をもつれさせ、あわや逆転勝利かというシーンにまで持ち込んだ土佐高の選手の皆様の敢闘精神と不屈の闘志。同じ高校生なのですから、気力を充実させ、けっして諦めない闘魂で戦い抜けば、戦力のみでは勝敗は決しないことを土佐高の監督様は選手の諸君の心に日ごろから注入しておられることを強く感じます。

 守備力に磨きをかけ、打撃を強化するために毎日振り込み、エースの尾崎君は万全の体調に戻すことに努めて、春のセンバツ甲子園のかかる本番の勝負の秋季四国大会高知県予選に臨んでほしいと願い、祈ります。

 高知中央高・明徳義塾高・高知高・土佐高がベスト4でシード権を得ました。次に実力を秘めたチームは、檮原高・高知商・岡豊高。なかでも、1-2と明徳義塾高に敗れはしたものの10安打して押し気味に試合を進めたという檮原高は不気味な存在ですから、できれば、別のゾーンに入ってくれることを願います。

 準決勝まで勝ち上がれば、3位決定戦での四国大会出場も可能で、昨年のように3位から甲子園もつかめる可能性が出てきます。新人戦(選抜大会)が終わった今日からは、すぐに切り替えて、秋季大会での土佐高応援に燃えることにします。

 高校野球に燃える夏から、さらに燃える秋に、高校球児とともに熱い思いで季節とともに移行するのです。