土佐高野球精神に立ち返る時

 力投型のピッチングフォームで、一球入魂で投げ込むスタイルの土佐高エースの横田投手。3日連続の先発マウンドはさぞかし疲労困憊だったことでしょう。

 熱闘の甲斐なく、強力明徳義塾高打線に2回につるべ打ちされましたが、気力を振り絞って打たれても、打たれてもめげずに気力を途切れさすことなく立ち向かう姿には、土佐エースの誇りを感じ、胸が熱くなりました。

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(※今日も力投の横田投手。疲れを癒して、また練習に勤しみ、夏にも活躍してほしいですね。)

 きっと彼のことですから、今日も志願の先発登板だったことでしょう。しかし、やはりそれは土佐の首脳陣が止めてあげるべきでした。春秋に富む若武者を酷使して、故障させては悔やむに悔やみきれません。将来の芽を県体で摘むなんて愚の骨頂。

 まさか、監督や部長の意図で3連投させたなんてことはありえないと思いますが、もし目先の勝利にこだわっての3日連続登板だとしたならば、問題ありは明らかです。戦術としてはいただけません。

 一昨日の高知南高戦は、試合作りのまずさからコールド勝ちできる試合をもつれさせ、9回表1死まではリードを許す展開だったことから、横田投手は9回裏まで全力投球での完投を余儀なくされました。

 そして、夏の選手権シードのかかった昨日の準々決勝も結局、5回を完投。少しばかり知恵のある首脳陣ならば、昨日の試合は早々と継投策を取って、横田君を温存したことでしょう。楽勝ペースでしたし、もし、準決勝の明徳高戦での登板を予定させているのならば、尚更です。

 疑問符のつく、首をかしげざるを得ない大切な土佐エースへ強いる負担。これで肩・肘・腰などを痛めないはずがありません。プロ野球でも、大学野球でも、3日連続登板なんて近頃はめったに聞いたことがありません。甲子園の最終盤、投手生命をかけて腕も折れんばかりの連投をするヒーローもいないではありませんが…。

 2回にめった打ちされ、降板を余儀なくされた横田君の失意や無念さはいかばかりでしょうか。疲労の蓄積は明らかで、球威が一昨日ほどは無く、打ち頃の球速となり、明徳打線にやすやすと攻略されました。

 2番手の土居投手は2回の火消しの役はこなしてくれましたが、3回はストライクが入らず、走者を自らためては押し出しの四球の連続。昨日の試合の逆を見せつけられることは、あらかじめ想定していたのですが、やっぱりな、と現時点での土佐と明徳のレベルの違いを嫌と言うほどつきつけられ、見せつけられました。

 土居君は、満塁のピンチに第1打席で横田君からホームランを打って明徳打線に着火した全国クラスの強打者の4番・谷合君を三振に切って取る場面も見せてはくれましたが、結局、3回2死までで降板。

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(※今日の試合で唯一スカッとしたシーン。高知県高校球界きっての強打者の谷合君を見逃しの三振に打ち取りました。)

 3番手のサイドスローの井下投手、4番手の池中投手が、ショート竹村君のファインプレーもあり4・5回を無得点に抑えてくれたので、やはり、今日の試合は、火達磨覚悟で、控えの投手陣のテスト登板に徹する作戦を取るべきだったと強く感じました。

 これは、昨日の時点で主張していたことなので、けっして「結果論」ではありません。常識です。セオリーです。いくら言っても、岡目八目の外野の意見にしかすぎないのですが…。

 打線は、明徳の控えの左腕投手に手も足も出ず、1安打。2塁を踏むことすら叶いませんでした。守備は、必死の投球のエースを盛り立ててしかるべきところ、平凡な飛球を落球してのタイムリーエラー。土佐らしさが微塵も感じられない淋しい試合内容でした。

【準決勝】
  明徳義塾 073 00 = 10
  土  佐 000 00 = 0

[明徳]服部 - 安田
[土佐]横田、土居、井下、池中 - 伊藤
本塁打〉谷合(明徳)
二塁打〉安田、田中、眞鍋(以上、明徳)

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(※明徳の控え選手たちの、スタンドでの一所懸命の応援ぶりには頭が下がります。ベンチ入りできなくても腐らず、身を粉にしての全力応援は人として見習うべきところおおありです。)

  チーム内の事情は預かり知りませんが、春季の主力を欠くことになった経緯から、なんらかのトラブルや内紛があるかのように想像できます。指導陣と部員との確執なんてことではないことを願っています。

 文武両道の土佐高野球に憧れ、甲子園と難関大学合格の両方を目指して、意気に燃えて入学した生徒たちの志を奪い取ることは、土佐高野球にあってはならないことであります。

 目先の勝ちにこだわった勝利至上主義かのようにも目に映る、今日の試合における疑問の選手起用も、底に漂う問題点が浮き彫りになった感は否めません。

 部の在り方を根本的に洗い直し、反省すべき点は素直に謙虚に正して、指導者と部員が一丸となり、協力一致して、高い目標に向かって励まし合い、切磋琢磨し、野球の技量を高めるばかりでなく、人間性も磨き上げる土佐校野球に立ち返るべき時が来ていると、土佐高野球命の一ファンとして強く思っています。