土佐高、気魄の逆転勝利! 2015年 9月20日

 中村高打線の強烈なる先制パンチを浴びせられた、土佐高先発のエース松原投手。初戦の緊張感に加えて、いきなりのピンチに動揺し、腕が振り切れず、伸びのあるストレートを投げることができません。

 立ち上がりに中村打線に完璧に捉えられ、長打の連続で早々に先制点を奪われ、追加点を与え、1回表に早々と降板を余儀なくされます。1回戦の室戸高で、好投手の両・安岡投手を打ち込んで11得点した中村高の強力打線は、その勢いのまま、土佐高の左腕エースを飲み込み、リリーフの右腕尾崎投手からも追加点を奪い、一挙に3点を奪い、さらに追加得点を加えてビッグイニングを作ろうと嵩(かさ)にかかって攻め込んできます。

 ここで踏ん張り、粘りの投球を披露して土佐高の窮地を救ってくれたのが、期待の1年生尾崎君。1回を3点でしのぎ切った後は、2回・3回・4回・5回と、2・3塁にランナーを背負う絶体絶命のピンチに、強い精神力を発揮して、抑えきってくれます。試合開始当初は浮き足立っていくつかのエラーを重ねた守備陣も、次第に落ち着きを取り戻し、堅実なプレーで尾崎君を守り立て、中村高の勢いを断ち切り、土佐高の試合のリズムを取り戻していきます。

 このピンチの連続に、1本タイムリーヒットを許していれば、勢い付いた中村高打線を抑えきれず、室戸高の二の舞を演じる結果につながったかもしれません。尾崎投手の浮き上がるような伸びを見せる直球、鋭く曲がる変化球という持ち味を十分引き出した、捕手の楫(かじ)君の強気のリードとコーナーワークも光りました。1・2回だけで6本のヒットを浴び、中盤までに10本のヒットを許し、エラーも3個なのに、スコアは1-3。粘り強い守りが、攻撃陣の反撃を引き出しました。

 継投策がずばりとはまった土佐高に対して、中村高は継投が裏目に出てしまいます。6回裏、リリーフした左腕投手をしぶとく攻め、ラッキーなコースに飛んだヒットや絶妙な送りバントがヒットになって得た無死満塁の絶好のチャンスに、押し出し四球を選んで2-3と詰め寄った後、次打者の馬場君が目の覚めるようなライナーを左中間にかっ飛ばします。走者一掃で大逆転。次打者もタイムリーヒットで、5点目を取り、試合の主導権を奪い返しました。

◎春野球場【2回戦】

中村高 300 000 1  = 4
土佐高 001 005 5× = 11

(中村)渡辺、柿内、渡辺、北原、泥谷-和田
(土佐)松原、尾崎-楫

三塁打〉北原2、和田(以上、中村)、馬場(土佐)
二塁打〉大黒(中村)、土居、柴田(以上、土佐)

 夏の大会の室戸高戦、高知中央高戦の9回の大逆転を思い出させる、驚異の粘り腰とここぞという場面での集中力。往年の土佐の気魄に満ちた打線がよみがえってきた印象を受け、こぢゃんと頼もしいです。いったん、レフトの守備についていた中村高のエースが再びマウンドに上がりましたが、一度火が付いた土佐打線を抑える体力と気力は残っていませんでした。

 序盤には、「ひょっとして、室戸と同じコールド負けか…。」と敗戦を覚悟させられた劣勢を、チーム一丸となって跳ね返した土佐高の選手たちの逞しさに脱帽し、拍手を送りたいです。反省点もあるでしょうが、「勝つこと」が最も大切です。11-4の7回コールド勝ちを収めた自信を次につなげ、守備陣を鍛え直し、エースの松原君は自らの調子を取り戻し、準々決勝の高知小津高戦に備えてほしいです。

 中村高は、惜しい試合を落としました。完全なる勝ち試合。見事な序盤の集中打で、土佐高の選手や応援団をたじたじとさせました。好機に、もう一本出て、5-0のスコアにしていれば、土佐高の焦りを誘い、試合展開は逆になっていた可能性は強いです。また、リリーフ投手が、もう少し踏ん張れていれば、逃げ切ることも可能だったかもしれません。

 次の準々決勝で戦う相手の偵察と考え、次戦も暑いさなか、引き続きネット裏に陣取って観戦しましたが、土佐塾高のエースの制球が定まらず、ストライクを取れずに押し出し四球の連続。初回に大量失点した時点で試合の行方は知れたので、早々に球場を後にしました。

 土佐高勝利を一人祝う、旭軒高岡店での大盛りラーメンの美味しいことったらありません。くず肉70円もおまけにつけて、大祝勝会。秋にしては暑すぎる炎天下での熱血応援のためか、塩分も水分も大量に出していたため、普段は意識して残すことにしているスープまで飲み干してしまいました。

 次戦は、再来週の日曜日。10月4日に、高知小津高とベスト4をかけて、春野球場の第2試合を戦います。楽しみが、2週間伸びました。重要な準々決勝、ここで勝つと負けるとでは大違い。勝てば、さらに2試合土佐高の試合を楽しめることが決定しますから、是が非でもチーム一丸となって勝利をもぎとってほしいと願います。きっと勝てます。11安打した打線は今の好調を持続し、守備を整備し、エースを復調させ、万全の態勢で準々決勝に臨んでほしいですね。

 いつも通り、応援部の皆様が、熱い中、大声を張り出しての熱烈応援で土佐の逆転劇を生み出してくれました。ピンチに、またチャンスにグラウンドに鳴り響く応援部の激励の声、手拍子、コンバットマーチ、そして、校歌。グラウンドで戦う選手たちはもとより、監督様、応援する私までをも、敢闘精神を鼓舞してもらえて、感謝しております。ありがとうございます。そして、お疲れさま。君たちの存在は、土佐高勝利を陰で支えるヒーローたちであります。