紫紺の優勝旗を土佐の地に持ち帰れ

 不安視されている内野守備陣は、必ずや、この冬に鍛え上げられ、春には鉄壁守備網に変身してくれます。

 もともと、守備範囲が広くて機敏な動きを見せる須崎中出身の森崎君(2年)が、サードかショートのレギュラーだったのですが、送りバントの際に投球を指に受け骨折。彼が復帰すれば、大丈夫ですよ。でも、打撃の良い1年生三遊間コンビからひとケタ背番号を奪い返せるかどうかが問題ではあります。

 関東・関西・東北の強豪ともわたりあえるチーム力を、今年のチームは備えています。その根拠は、なんといっても投手力。野球はやっぱりピッチャーで決まりますからね。1年生新エースに躍り出た尾崎君は、投手に必要不可欠なハートの強さを「図太い」ほどに持ち合わせています。

 クレバーな頭脳的ピッチングに度胸が加わるのですから、頼もしいの一言です。多種多彩な変化球、初速と終速があまり変わらないストレートは伸びがあり、打者の手元でホップするような威力があります。明徳義塾打線がきりきり舞いするほどですから、すでに実力の高さは証明済み。

 上級生には、松原君と吉川(周)君のダブルサウスポーも控えていて、この冬には走り込んで、尾崎君からエースの座を奪い返そうとしのぎを削るような切磋琢磨を見せてくれることでしょう。

 少ないチャンスをものにする勝負強いバッティングは、昨夏から昨秋にかけて何試合も目を見張らされました。ここぞという時に、カキーンとタイムリーヒットを打ってくれるのです。明徳にあって土佐にはなかったしたたかさやしぶとさがチーム内に生まれ育っているのです。かつては、気魄と集中力の土佐野球と形容されたものですが、現チームにはそれが備わっているのです。

 徳島城南高校、小豆島高校ともに強かったですよ。特に、小豆島高校は、エースの長谷川君のテンポの良い投球術は素晴らしく、四国王者にして神宮覇者の高松商がぴしゃりと抑え込まれたのにも納得できました。その長谷川君を土佐打線は攻略したのですから、たいしたもの。なかなかの出来栄えです。

 夢や幻ではなく、私は土佐高が紫紺(しこん)の優勝旗を土佐の地に持ち帰ってくれると信じ、期待しています。守備陣を明徳なみに鍛え抜き、3人のエース級で試合をつなぎ、勝負強い打線のつながりで、全国の強豪を次々となぎ倒してほしいものですね。

 甲子園という球児の聖地にて、全力疾走の土佐の春の旋風(つむじかぜ)が何度も吹き抜けることを心から期待するものです。願わくば、秋に3連敗の明徳さんに甲子園でリベンジ。高い目標となって、土佐を結果的に鍛えて春のセンバツに導いてくれた恩返しといきたいところですね。