土佐の春は過ぎ、夏に始動 ②

それでも、土佐高ナインは劣勢の試合にもめげることなく、しょぼくれることなく、最後まで気力溢(あふ)れる、立派な戦いぶりを見せてくれました。特に、小さなエースの尾崎君。強打者を3振に切って取るシーンもしばしばで、大いなる自信と経験を積めたことと確信しています。それと、大会屈指の好投手からフェンス直撃の大きな当たりをかっ飛ばして土佐大応援団を大いに沸(わ)かせてくれた4番・柴田君。胸のすく、興奮の場面でした。

 指の骨折が癒(い)えてレギュラーに戻った遊撃・森﨑君の軽快なるフットワークの好守備も光りました。最後は、脚のふくらはぎを攣(つ)ってしまうほどのはつらつハッスルプレーに胸が熱くなりました。

 残念だったのは、大阪桐蔭の強力打線の猛攻にあいながらも孤軍奮闘、一人で投げ抜いているエースが、終盤、無死満塁のピンチを迎えた場面、気魄に満ちた投球ぶりで2者連続三振を奪い、次の打者もショートゴロに打ち取って、大量失点を回避できたと土佐応援サイドのだれもが安堵した瞬間、イージーな送球をベースカバーの野手が手痛い落球。やらずもがなの2点の追加点を献上したことです。これはいただけません。

 一冬鍛え抜いたはずの守備で、エースの足を引っ張る場面は、やっぱり見たくはありませんでした。守備陣の鍛え直しは、夏の学園・明徳などを打倒しての甲子園出場への喫緊の課題であることは言(げん)をまちません。守備はまだまだ鍛(きた)えることができます。あと3ケ月、鉄壁な内野守備陣を結成するために、今一度基礎訓練を地道に繰り返し、堅実なるプレーがここぞというピンチにも当たり前にできるレベルにまで、精度とメンタルの強さを培ってほしいと熱望します。

 これで、センバツの総括は終わりです。野球部の皆様、指導にあたる先生方、保護者の皆様、野球部関係者の皆様、そして、アルプススタンドで大声援を送り土佐の士気を鼓舞(こぶ)してくださった応援部と吹奏楽部の皆様、甲子園まで駆け付けてくださったOBの方々、一般の土佐応援の方々、本当にお疲れさまでした。そして、ありがとうございました。次は、今年の夏の甲子園でまたお会いしたいものです。

 私は、すでに夏の選手権への応援のスタートを切るべく、頭を切り替えています。まずは、プレチャレンジマッチの明徳義塾高戦。昨秋の新人戦から数えて、はやくも4試合目となります。これは珍しいです。4度目の正直で、目の上のたんこぶ的難敵を打ち破り、なんとしても春季四国大会出場の切符をつかみ取ってほしいです。

 向陽グラウンドでの練習試合ではなく、四国内の強豪チームとの公式試合で腕と心を磨き、夏への肥やしと栄養にしてほしいのです。そういう意味で、明徳戦はとても重要です。甲子園がかかっていないと軽んじることなかれ。総力戦を仕掛け、勝ちにいってほしいですね。

 土佐熱烈ファンにとって、四国大会で純白のユニフォームが球場を駆け巡る姿をみられるのは、最高の喜びであり、楽しみなのですから。

 さあ、気分をリフレッシュして、夏の甲子園に向けて改めて始動であります。フレーフレー、土佐高!