土佐の短い秋が終わりました ② 完結編

 土佐高のスターティングメンバーは、9名中7名が1年生。次々と繰り出す投手もすべて1年生。1年生の部員数はとても多く、素質に恵まれた選手もたくさん居て、チームの今後の成長を楽しみに思います。

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  それでも、やっぱり、将来の楽しみではなく、昨日の試合を勝ち切って欲しかったです。相手投手にピシャリと抑え込まれての敗戦ではなく、11安打も浴びせてわずか1得点の拙攻による悔しすぎる敗戦だっただけに、戦術面で首をかしげるシーンがあったのは、私だけの思いではないことでしょう。

 チャンスの場面で畳み掛ける攻撃を仕掛ける勝負強さを、この若いチームには養ってほしいです。

 11安打して、勝てる可能性が十分にあった試合を落とした遠因には、「流れを呼び込み」「押せ押せで攻めまくる」リズム作りが今一できなかったことがあるかもしれません。その重大なる役割をいつも果たしてくださる「土佐高応援部」の皆さんの姿が今回は春野球場には無かったことが惜しまれます。

 高知市内の方に娘を送る用事があり、土佐高グラウンド前を通って春野球場に急いだその途上、土佐中高運動会が開催されているのを見掛けました。昨年までは、3年間三女の応援にここを通ったものだなあ、と考えながら通り過ぎました。

 また、土佐の運動会では花形となる野球部の選手たちは、秋の公式戦と運動会の日程がかち合い、運動会には出られないのだなあと可哀そうにも思いました。

 そして、球場の応援スタンドには、応援部の姿は当然のことながら見られず、引退した3年生や応援の生徒もまったくいなくて、少しばかり現役選手の保護者のみなさんが陣取っている土佐応援スタンドはいつものにぎやかさはなくて静かで淋しい限り。

 夏の選手権大会で決勝に進出し、町ぐるみで野球部を励まし、支援し、何としても甲子園出場させようと意気込み檮原から遥々応援に駆け付けた多くの応援団の熱気と歓声に、野球の神様がほだされて、「球運を檮原にプレゼント」したかのような印象さえ受けました。熱烈なる応援による流れの呼び込み、運気のつかみ取りって、実際にあるのではないかと、昨日は強く感じました。

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  敗戦から一日経ち、一晩眠って敗戦うつがやや回復したところで、冷静に昨日の試合を振り返ると、とても気掛かりなシーンがよみがえりました。ピンチに伝令を送る際に、監督さんではなく、部長さんがベンチの前面に出て、伝令の選手に指示を与える場面。その部長さんは、度々、ベンチの奥から前に乗り出してきて、メガホンを持って怒気をはらんだかのような大声で、守備位置の指示やランナーへの注意をします。これらって、本来は「監督の仕事」ではないでしょうか。

 船頭多くして船山に上るというきらいは無いでしょうか。試合に関しての指揮は監督さんを信頼して一任し、部長さんは裏方に徹して、陰に日向に監督と選手を支えるという風にチームの方針を改めた方が、監督の上に総監督がいるかのような状況で、二人の顔色を伺ったり、ダブルの指示に戸惑ったり迷ったりする選手の気疲れが減少して、練習や試合に集中できる環境になるのではないかと、素人ながら忠言したくなるシーンがありました。

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  それにしても、一昨年の秋の県大会・四国大会での尾崎投手・吉川主将の偉大さをつくづく、しみじみと思い出します。130㎞台のホップするストレートと切れ味鋭い変化球を持った尾崎君は、仁王立ちの堂々たるマウンド度胸で、強敵を抑え込んでくれました。吉川主将は、尾崎投手の負担を減らす2枚看板の左腕として活躍する一方、劣勢の試合のここぞの場面で起死回生の一打を何度もかっ飛ばして、チームの息を吹き返させて勝利に導いてくれました。

 ミラクルを何度も招き寄せる「勝負強さ」や「勝負勘」。この二人の残してくれた財産を受け継ぐべく、素質のある後輩たちは日々の練習でそれらを培うことを目標に、鍛錬に励んでくださいね。

 あそこで打っちょったら勝てた、ではなく、「あそこで打ったき勝てた」と喜べる奇跡の試合を重ねることが、憧れの甲子園への道を切り拓くことにつながるのですから。