５回の集中打は、夏の終わりの打ち上げ花火 2015年 7月29日
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土佐の熱き夏が、派手な花火をドンドンバーンと打ち上げて終わりました。１２－０の５回コールド負けで終わるのと、最後まで気魄と闘志を全面に押し出して粘りを見せて散るのとでは大違い。
５回表の一矢（いっし）を報いる、いや、一矢どころか、二三四五六の矢を報いた打線のつながりと諦めを知らぬ粘っこさに、快哉を叫ぶとともに、この夏、春野と高知の球場に吹き荒れた土佐旋風の最後のつむじ風のひと吹きを感じて、爽やかさが胸いっぱいに広がりました。 最後まで気力を横溢させて挑みかかっていく姿は、気魄の土佐、全力疾走の土佐の面目躍如たるものがありました。春の時点で、１７－０だったのが、今回は１３－６。土佐が鍛錬してチーム力を上げてはいても、学園も精進に精進を重ねているわけですから、追い付くのは至難の業の状況下、よく追い上げたものだと、選手諸君を褒めてあげたい気持ちでいっぱいです。 高知学園は、ここ４年間、目の上のたんこぶ的存在の好敵手・明徳義塾の前に、決勝戦にて１点差の僅差で敗れ去ることの連続。しかも、昨秋の四国大会もセンバツ甲子園確定まであと１勝までこぎつけたのにもかかわらず、香川・英明高に準決勝で敗れて、選抜出場切符を逃しました。学園の選手諸君、監督さんをはじめ、野球部関係者の悔しさ、無念さはいかばかりでしょうか。 積もりに積もった鬱憤を今夏こそは晴らそうと、量に質も磨き上げた厳しい練習を積み重ね、ここ数年では最高のチーム力に仕上げてきていることは、実力が高いとみられた中村高・高知東高戦での横綱相撲的な安定した力強さと隙の無さを見せてコールド勝ちの楽勝で一蹴する試合ぶりをみて、十分承知しておりました。 今日の決勝戦も、きっと、明徳義塾に圧勝で甲子園を射止めることでしょう。それだけのハイレベルのチーム力は備えてきていると確信しています。であるからこそ、もし、今年もまた明徳に競り負けたなんていうことになると、学園関係者が受けるショックの大きさたるや…。明徳って、力が劣っていても、試合を作って、最後には勝ちを手中に収めるしたたかさやしつこさ、粘り強さを持ち合わせている逞しい精神力のあるチームですからね。 話を、土佐の戦いぶりに戻すと、もし、高知・島田監督さんが、５回コールド勝ちを確信しての継投策の際に、明徳戦へのエースの体力温存に徹して、鶴井投手をベンチに下げてくれていたとしたら、ひょっとしたら土佐の大逆転勝利があったのでは…、なんて夢を描かせてくれる土佐の選手のみなさんの執念の、気魄に満ちた集中打は見事、天晴れでした。 学園にとっては、エース・鶴井君と２番手・３番手の投手との力量の差のありすぎが、明徳戦や甲子園に出場した際の上位進出への課題となると思わせられます。 残念なのが、土佐打線につかまり１死も取れずにベンチに下がった２番手左腕投手のU君が、我が塾の卒塾生だということです。小学生時代に通ってくれ、中学入学時点で高知中学野球部に入部し、準レギュラーとして頑張っている彼ですから、土佐打線に呑み込まれて火だるまでマウンドを降りる姿を目の当たりにするのは、こぢゃんと複雑な心境でした。 彼には、明徳戦で登板の機会に恵まれれば、名誉挽回の快投を期待しています。 今年のチームには、秋も夏も本当に楽しませてもらいました。胸を熱くしたり、失意落胆に沈んだりと、選手の皆様や保護者の方々、応援の方々、皆様と土佐の活躍に一喜一憂し、高校野球の醍醐味と土佐野球の素晴らしさを体感させていただきました。 スリリング＆エキサイティングな土壇場大逆転勝利の連続で、熱狂させてくれた２０１５年夏の土佐の戦いぶりは、印象強く土佐ファンの脳裏に刻み込まれ、語り継がれることでしょう。これぞ土佐高だと、応援する私も誇り高き思いでいっぱいです。 今年はたまたま、高知学園が群を抜く強さだったため、勝利を収めることができませんでしたが、近い将来、学園・明徳の２強の牙城を崩して、堂々と夏の甲子園に舞い戻り、土佐の純白のユニフォーム姿が聖地のダイアモンドで躍動する姿を感動の眼差しで眺めることができるように、私はこれからも土佐高野球を全力で応援いたします。 たくさんの感動と興奮と感激をありがとうございました。そして、選手の皆様、監督様をはじめ、土佐高野球関係者の皆様、本当にお疲れ様でした。 敗軍の将、兵を語らず、ではないですが、準決勝については、敗軍の熱血応援者、選手の戦いぶりを語らず、で行きたいと思います。あれこれと語る必要はありません。持てる力は出し切れた、大会を通じて、土佐の貴重な財産として後輩たちに受け継がれる立派な試合ぶりだったと誉めてあげるばかりであります。 ◇春野球場
【準決勝】 土佐 ０００ ０６０ ０＝６ 高知 ５３１ ３１０ Ｘ＝13 |
