土佐の夏終わる 2015年 8月28日

 夏が終わりました。熱き夏。長い夏。土佐の夏が。

 まずは、母校・土佐中、土佐高野球部の皆様に、感謝の思いを伝えます。胸いっぱい、心いっぱいの感激と興奮をありがとうございました。純白のユニフォームが春野や高知の球場を一心不乱に全力で駆け回る姿は、いつ見ても感動の思いが湧きあがります。

 一球入魂で、一つひとつのプレーに全力を尽くし、鍛え上げ、培い、磨いてきた技と心をすべて出し切る戦いぶりに、55歳のおんちゃんはこぢゃんと勇気づけられるのです。

 さて、今日の新人戦(選抜大会)の準決勝戦。土佐高は健闘空しく、7回コールド1-8で敗退しました。夏に続いてのベスト4進出は立派です。それでも、甲子園出場をつかみ取るためにチームとして必要な課題や強化点が浮き彫りにされた試合でありました。

 土  佐 010 000 0 = 1
 明徳義塾 403 000 1x = 8
 (土佐)松原、尾崎、吉川周-楫
 (明徳)石橋、中野-古賀
  〈三塁打〉西浦、立花(以上、明徳)
  〈二塁打〉西村、今井、中野、立花(以上、明徳)、土居(土佐)

 高知県内には、毎年決まって四国では屈指の、全国クラスの実力を備えた2強のチームが、その他の高校の前に大きな壁となって立ちはだかります。言わずと知れた、明徳義塾高と高知学園です。この2チームは、甲子園出場の可能性が大きいことで、県内外から多くの選手がこぞって集まり、素質に恵まれた選手の中から選りすぐられ、鍛え抜かれた選手たちで占められたレギュラーたちが、毎年しのぎを削るライバル関係にあります。

 切磋琢磨という言葉がふさわしいほど、お互いの存在がそれぞれを磨き上げることにより、他のチームとの実力の差は開く一方、そんな印象を強く持つのは、私だけではないことでしょう。

 その2強に迫るチーム力にたどり着き、追い付け追い越せと土佐高の選手たちも一所懸命の練習を積み重ねていますが、それ以上に2強が猛練習に打ち込んでいるのですから、差を縮めることは至難の業です。それでも、悲願の甲子園出場のためには、なんとしてでも2強の域までチーム力を高め、追い付かなければなりません。

 私は柔道が本職で、硬式野球は好きではあっても、野球理論や技術論に関しては門外漢ですから、あまり専門的なことは分かりません。それでも、今日の試合を見る限りで、気付いたことを記しておきたいと思います。

 好材料としては、1年生の尾崎君がリリーフとして登板。明徳打線を3回、無得点に抑えてくれました。最強の相手に対して、自分のピッチングが通用するという自信を深めるとともに、最高の経験として今後のピッチングに活かしてほしいです。

 初回に4点取られましたが、大崩れせずに、中盤まで持ちこたえたこと。夏の準決勝、高知高戦のようになりはしないかとハラハラさせられましたが、序盤で10点以上取られるという事態は回避してくれました。

 これからの課題は、山ほどあります。私が指摘するまでもないことですが、控えの左腕からはヒットを打ちましたが、3回から右腕のエースが登板すると打線は沈黙。ヒットすら打てませんでした。直球には差し込まれ、変化球には目がついていかず…。打線の強化が最重要課題です。

 初回のチャンスに、牽制死。次のチャンスにも、やや暴走気味の3塁タッチアウト。したたかな明徳の守備陣にチャンスの芽を摘まれました。もっと、状況を読んで、慎重なリードや進塁の決断をしてほしいです。

 変凡なゴロのエラーは禁物です。一つの凡プレーが、上位での争いになると命取りになります。

 一人のエースに負担を強いる起用法は、故障のもとです。エースの松原君は、一日おきに、中村高・高知商明徳義塾と登板。この5日間で、3試合先発は、酷使と言えるのではないでしょうか。今日の試合は、松原君には登板させず、最初から、尾崎君か吉川君を起用してほしかったです。松原君の疲労蓄積は、否めなかったと感じます。

 秋の県予選では、1回戦・2回戦は、3人で順番に先発を任せ、継投作戦も視野に入れての起用法をとってほしいと熱望します。今のチーム力では、準決勝に進んだ際に、明徳や高知と当たって、投手が疲労していたのでは、夏や今日の二の舞、三の舞になりかねないと思うのです。

 新人戦が終わり、秋の四国大会の県予選の組み合わせ抽選は、9月6日に行われ、12日には早くも開幕です。高知商業との準々決勝に勝ってくれたおかげで、土佐は、秋季大会県予選ではシード権を獲得し、明徳義塾と高知とは準決勝まで対戦することはありません。

 そこで、秋の大会までに、現時点で見つけることができた課題や強化ポイントを修正し、鍛え直し、今のチーム力を最大限発揮できる態勢を整えて、甲子園のかかった公式戦に臨んでもらいたいです。そして、無難に勝ち上がり、今度こそ、明徳または学園の牙城を突き崩し、決勝戦まで勝ち上がって、四国大会出場を準決勝の勝利で決めてほしいと切望します。

 どんな組み合わせ抽選になるでしょうか。また、秋にはどんな高校野球のドラマを見せてもらえるでしょうか。今から、楽しみでなりません。夏は終わりますが、熱き秋の戦いの火ぶたが切って落とされるのは、すぐ先のことです。目を見張らされる土佐の秋が訪れることを願ってやみません。