土佐高、3位決定戦へ 2015年10月10日

 準決勝・明徳義塾高戦の土佐高の戦いぶりは、前週とは別のチームかと思わせられるほどのレベルアップぶり。特に、三遊間の守備力が格段にレベルアップしていることに驚かさると同時に、歯を食いしばり、向上心を強く胸に抱いて精神力と技術の両方を立て直してきた選手の皆さんの努力に拍手です。

 ワイルドピッチ(または捕逸)が一つだけあった以外は、なんとノーエラー。地味ながらも、堅実な守備で投手を守り立てていく、土佐本来の戦い方ができたことは大きな収穫です。

 土佐高は、気魄も十分で、闘志を前面に押し出したファイト満点のプレーで、9回を戦い抜いてくれました。1ケ月前の新人戦では、1回にいきなり4失点、序盤の3回で7失点の1-8での7回コールド負け。それが、今回は、粘り強く戦い、0-5。負けはしましたが、この1ケ月で差は縮めることができていることは、スコアが如実に物語っています。

 土 佐 000 000 000 = 0
 明 徳 003 020 00× = 5
  (土佐)吉川周・清岡・尾崎・松原 - 楫
  (明徳)中野 - 古賀
   〈二塁打〉吉原(土佐)

 土佐高の敗戦の要因はいくつか挙げられます。それらは、土佐のミスや弱さといったことではなく、明徳義塾高の戦いぶりの精度の高さと緻密さ、そして球際の強さと言えるでしょう。具体的には、

① 土佐高、1回表、無死からヒットで出たランナーが、単独スチールを敢行するも、正確無比な捕手の2塁送球に、ベースにたどり着く前に悠々タッチアウト。

② 土佐高、無死1塁の好機に、次打者が絶妙のバントを転がし、完全にセーフのタイミングながらも、明徳エースの巧妙なグラブトスで間一髪アウト。

③ 土佐高の打者の放ったレフトに抜けようかという鋭いライナーを、ジャンプ一番、最高のタイミングで3塁手がキャッチの超美技。抜ければ、2塁打でチャンス到来でした。

④ 土佐高、2死1・2塁の得点機、遊撃手・捕手・投手のサインプレーで、2塁ランナーをけん制アウト。これは痛かったです。打ってアウトなら納得なのですが…。

 この4つのプレーに象徴されるように、明徳義塾高のプレーには隙(すき)というものがありません。流石は、甲子園常連校。一つひとつのプレーに魂がこもっています。

 土佐高には、好材料も見つかりました。見違えるほどの守備力の立て直しに成功したのに続いて、本日継投した4人の投手のレベルが、結構高いところでまとまっているからです。これほど粒ぞろいのピッチャーが集まったことは珍しいのではないでしょうか。四国大会でも優勝候補の、全国クラスの実力を誇る明徳打線に対して、ある程度通用するという自信を持てることは、こぢゃんと大きいです。そして、甲子園レベルの強豪校と、新人戦・秋の大会と連続で真剣勝負できたことは、価値ある経験です。今後に、必ず活きてくると信じます。

 打線も、好投手・中野君の勢いのある直球、切れ味するどいスライダーにも臆することなく、思いっきりバットを振り、挑みかかっていく気魄は評価できます。各バッターそれぞれに振りも鋭いです。1番吉原君のクリーンヒットをはじめ、良い当たりは何本もありました。

 さあ、準決勝は敗れましたが、これで終わりではありません。四国大会出場の3つ目の権利をつかむために、今日の第一試合で高知商に1-8の7回コールドで敗退した高知工業高との3位決定戦が残っています。ここで勝つと負けるとでは大違い。チームが一丸となって総力戦を仕掛けて、手堅く勝ちを奪いにいってほしいと熱望します。

 私は、偵察と明日の対戦の作戦を考察するために、第1試合も全部観戦しました。すると、高知工業は、背番号1のエースの登板が今日の試合ではありませんでした。控え投手たちの方が調子が良かったのか、エースが故障気味なのか、それとも、土佐高との重要な一戦を睨んで、「温存作戦」をとったのか。カーブが打ちにくいサウスポーですから、対戦が不気味ではありますが、今日の土佐打線の振りの鋭さだと、きっと攻略できると信じています。

 守備力は、堅実さを取り戻し、今日の明徳8回裏の最後は、流れるような美しいダブルプレーでしめてくれましたし、ノーエラーの自信はきっと明日の試合にもつながることでしょう。

 投手は、誰の先発になるかは分かりませんが、今日の試合の疲労が残っているピッチャーは一人もいません。強敵相手に、4人の継投策で試合を作れたことは素晴らしかったですし、西内監督様の思惑通りだったと感じます。特に、先発して明徳義塾高の序盤1・2回を無得点で土佐のリズム作りに貢献してくれた、背番号7の主将・吉川周君の気合の入った投球は見事でした。流石はキャプテンと、大いに讃えたいです。

 さあ、明日は代表決定をつかめるかいなかの大一番。高知工業も命懸けで掛かり込んでくることでしょう。「桟橋通り決戦」とも言える、お隣同士の学校の対戦。顔見知りもたくさんいることでしょうが、好敵手同士、全力での正々堂々のプレーを期待します。