土佐高、互角以上の立派な戦いぶりはお見事! 2015年10月31日

 獲り込み寸前のところで、大魚を逸しました。高知の横綱を土俵際まで押し込みましたが、うっちゃられました。手中に収めかけた春のセンバツ甲子園出場確定を、惜しいところで逃しました。

 やはり、勝敗を分けたのは「守備力」の差。土佐の内野陣の守備の乱れは、誰しも予想し、西内監督様も試合の中では織り込み済みだったことでしょうが、手痛すぎるイージーな送球の受け損ないでした。球際の強さ…とかいう話の以前の守備力。夏までの課題が浮き彫りになった秋の県予選・四国大会での戦いでした。

 それでも、土佐高のこの2ケ月間での著しい成長ぶりは、目を見張らされました。素晴らしいとしか言い様がありません。私は、新人戦・秋季県予選・四国大会とすべての試合を球場にて観戦させてもらいましたが、打撃陣の見違えるほどの振りの鋭さは、まるで別のチームになったかのような錯覚に陥るほど。

 今日の試合でも明徳義塾高のエース、好投手の中野君を完全に攻略して11安打。本当にすごい打線になったものです。それでも、明徳から3点しか奪えなかったのは、やはり明徳内野守備陣の安定した堅い守りがあってこそ。明徳にあって、土佐にないものが守備力のレベルの高さでした。

 尾崎君の投球ぶりは、四国大会の華と言えるほどのナイスピッチング。エラーで足を引っ張られなければ、完封も考えられたほどの圧巻の出来でした。

 打撃陣で惜しまれるのは、1-0で迎えた序盤、上位がクリーンヒットを連ねて無死満塁と攻め込んだ場面。たじたじとなって焦りの出ている相手エースを助けるかのように、早打ちで3塁ゴロで、5-2-1のダブルプレー。ここで、1点でも追加点を挙げていれば、完全に土佐ペースの流れとなり、楽勝もありえた絶好のチャンスでした。ここをしのぎ切るのが、明徳の強さですが…。


徳島県・鳴門市・オロナミンC球場】
〈準決勝〉

土  佐  100 000 110 0 = 3
明徳義塾  002 000 100 1×= 4

[土佐]尾崎-楫
[明徳]中野-古賀
二塁打〉馬場(土佐)、西浦、古賀(以上、明徳)


 土佐にとっては、「相撲に勝って、勝負に負けた」という試合になりましたが、四国大会の1回戦で戦った徳島城南さんと同じ気持ちにさせられました。中盤までに、土佐は8安打、明徳は2安打なのに、スコアは1-2。野球って、本当に難しいですし、面白いものですね。

 いったん、今日の試合を離れて、準決勝で惜敗した土佐の春のセンバツに選ばれる可能性を探ってみましょう。まず、高知県からは明徳が確定しましたから、「地域性」の問題で、愛媛・済美高に有利になります。土佐の有利な点は、済美に勝って決勝に進んだ高松商に、香川県予選で2-1と勝利した香川1位の小豆島高に準々決勝で勝っていること。この時点で、両者の可能性は五分五分ですから、明日の明徳VS高松商の決勝の勝敗の行方が土佐の命運を握っていると言えます。

 高松商が勝てば、済美。明徳が勝てば、土佐に決まりです。ということは、土佐を甲子園に導くためにも、明日の決勝は明徳様に是が非でも勝利をつかんでもらわねばなりません。NHKのTV放送を観戦しながら、全身全霊で応援しなければなりません。

 中四国の5校目を争う中国大会を注目していましたが、

如水館高(広島2位校) 3-6 南陽工業(山口3位校)

創志学園(岡山3位校) 5-0 開星高校(島根2位校)

 となっています。各県の1位校はいませんし、準決勝で敗退の2校は、いずれも完敗。一昨年は、四国、今年は、中国という順番と、準決勝での惜敗率からも、来春の選考は四国有利に働いてくれるといいのですが。気掛かりなのは、この夏の選手権で、四国4校はすべてのチームが初戦で敗退した事実。全滅が、四国のレベルの低下とみなされることが不安です。でも、これは旧チームのことですからね。

 鳴門オロナミンC球場まで、往復460㎞走って、ぶっ倒れそうになるほどの土佐の熱戦を熱烈応援をし、済美・高商戦をラジオでチェックしながら、Uターンで急ぎの帰宅をしたため、さすがに、バテ気味です。これから、本業の授業に入りますから、試合についての感想や分析や、今後の展望については、のちほど、気持ちが落ち着いてからじっくりと語りたいと思います。

 それにしても、土佐主将の吉川(周)君のバッティングセンスって、抜群であり、秀逸です。5打数5安打は、いずれもジャストミートのライナー。これほどのハイレベルな打者を、土佐のチームでこれまでに見たことはありません。その打撃は、芸術だと言っても過言ではありません。期待に応え続けて、美しいヒットを打ち続けるチームリーダーの存在は大きく、県予選の高知工戦、四国での小豆島戦は、彼の一撃のおかげで勝利を収めたことは記憶に新しいです。

 尾崎君の気魄に満ちた投球、シュア―なバッティングでヒットを量産し、信じられないほどの高打率を残している吉川主将。彼らの活躍を、なんとしてでも甲子園で見せてほしいものですね。

 To be continued(=続く)