土佐高センバツ出場の可能性を考察する 2015年12月19日

①四国大会優勝の高松商業が、明治神宮大会で優勝し、「神宮枠」を四国にプレゼントしてくれたことが、なんと言っても大きいですね。

 神宮枠がない場合、愛媛・済美高との比較になり、四国王者の高松商と準決勝で競り合った済美高が有利であり、かつまた、準優勝の明徳義塾高がセンバツ確定なだけに、地域性からも済美高をさておいて、高知県から2校というわけにはいかなかったでしょうが、神宮枠獲得で土佐高選抜の可能性がグンと高まりました。


北信越代表の敦賀気比高との対戦は、中国地方優勝の創志学園が初戦で、1-5で完敗しました。その敦賀気比高と決勝で対戦した高松商業は、8-3と完勝。

 四国と中国のレベルの相対比較の格好の資料となるのは確実です。


③中国大会の準決勝は、創志学園5-0開星高、南陽工6-3如水館と一方的な試合展開となっている上に、決勝は、創志学園12-1南陽工のスコア。

 四国の準決勝は、高松商6-5済美高、明徳義塾高4-3土佐高。土佐高の試合は、土佐が押しまくる試合展開であり、かつまた延長戦にもつれ込む接戦の好試合。


④四国大会・神宮大会を全勝し、ダブル優勝の栄誉に輝く高松商業香川県予選の決勝で、延長12回の熱戦の上、2-1の僅差で破って優勝した香川県1位校の小豆島高に、土佐高は4-3と勝利した事実は、選考にこぢゃんと有利な好材料であるのは当然です。


⑤小豆島高は、21世紀枠での選出が濃厚なだけに、そのチームを撃破した土佐高を選考漏れで落選させるのは、選考委員としてはしのびない気持ちにかられるのは必至であります。


⑥新人戦・高知県大会・四国大会と、明徳義塾高に3タテを食らいはしましたが、別の面から見れば、明徳以外には敗戦を喫していないという実績が残ります。しかも、試合内容は試合ごとに良くなっているのは明らかで、急速で劇的なチームとしての成長ぶりは評価に値します。

 詳しく述べると、新人戦は、1-8の7回コールド負けで、安打数は、2本-11本、県大会は、0-5の完封負けで、安打数は、4本-8本、四国大会の準決勝では、3-4の本当に惜しい僅差の敗戦で、安打数は、倍近い11本-6本。

 打撃陣の見違える成長は、選考資料としては価値が高いです。特に、1番・4番の柔らかくシュアーなバッティングは素晴らしいですし、3番の確実性の高さと勝負強さは特筆されます。明徳戦では、表彰ものの5打数5安打。


⑦内野の失策が多いというマイナス評価をするむきもありますが、単発的なエラーであり、連鎖して相手校にビッグイニングを与えて試合を壊すという崩れ方はしない粘り強い戦いぶりは大いに評価できます。

 ここぞという大切な局面では、泥臭くも堅実なプレーでピンチを脱する精神力に満ちた守備力を随所に発揮できました。実際に、すべての試合をつぶさに観戦してみて感じるのは、エラーも少なくはないが、好プレー、ファインプレーもあって投手を盛り立てる場面もしばしば見られたということです。


⑧小さなエースの1年生・尾崎君の頭脳的ピッチングは魅力に溢れています。

 急速こそ130㌔弱ではありますが、ホップするように伸びてくるストレートは威力十分です。直球とスライダー、シンカー、カットボールと多彩なくせ球の変化級とのコンビネーションで、狙い球を絞らせずに、強力打線を切って取っていく投球術は、玄人好みのする渋みを持っています。


⑨きびきびとした動きで、試合中のみならず、攻守交代時にも伝統の全力疾走でグラウンドを駆け回る姿ははつらつとしていて爽やかそのもの。観ているものに好印象を与えてくれます。

 控え選手も含め、ベンチや応援席からも大きな声が出続けていますし、くわえて言えば、昔ながらの質実剛健の応援部の声援ぶりも、土佐の校風や品格を強く感じさせてくれて心強く、大会関係者や記者さんたちにもきっと感動を与えていることでしょう。


⑩春の選抜大会に出場するためには、秋季大会の成績が重要参考資料として取り扱われるのはもちろんですが、優勝という事実のみが参加資格獲得条件となっている夏の選手権大会とは異なって、あくまでも、「主催者側が選考して選抜する招待野球の側面がある」ことを忘れてはなりません。

 全6条からなる「大会参加資格規定」を見てみてもそれは明らかです。その規定のいの一番に記載されている文言にそれは顕著に表されています。

 曰(いわ)く、

「(1) 校風、品位、技能ともに高校野球にふさわしい学校であり野球部であること。」

 校風、品位が重んじられるのですね。この選考基準にふさわしいからこそ、私立高としては初めて21世紀枠での選出をされたことも記憶に新しいですよね。次の条項である、

「(2) 各都道府県高等学校野球連盟により推薦されたものの中から地域性を考慮する。」

 がやや気になるところではありますが、今回に限っては、上に述べたように、「地域性を上回る好材料」が土佐高サイドには数多く存在していますから、高校球児の模範校的存在の土佐高がセンバツ甲子園に晴れて選ばれるのは確実、100%の確率であると、冷静なる分析の結果からの結論に達する次第であります。