四国大会の準決勝を見て思ふ

 高校野球秋季四国大会は、準決勝が行われ、高知県2位代表の明徳義塾高が愛媛県3位代表の済美高に10-2の8回コールド勝ちを収めて、来春のセンバツ甲子園出場を確定させました。明徳義塾高の皆さん、おめでとうございます。

 この夏の選手権でも、全国ベスト4に残った全国屈指の強豪・明徳義塾高。このチームに、昨秋の今頃、我らが土佐高は秋季四国大会で2勝し、準決勝で明徳義塾高に3度目のチャレンジ。押し気味に試合を進め、延長戦を戦い抜くも、あと一歩のところで金星という大魚を逸しました。

 今日と同じく、北風が吹いてちょっと肌寒い秋空の元、徳島県鳴門市のオロナミン球場に般若嫁と一緒に応援に馳せ参じ、土佐高の純白のユニフォームの選手たちを声も枯れんばかりに熱烈応援したことが、今では、胸を締め付けられるほどに懐かしい、そして、ほろ苦い思い出として鮮明によみがえってきます。

 この秋も、坊ちゃんスタジアムに土佐高応援に行きたかったです。本当に。信頼できる、まとまった小さな大エースと、長打力のあるクリーンナップを擁して、県予選の準々決勝では、四国大会に向けての最大のライバルであると目された高知商に完勝して、いったんは、四国大会出場を確信しただけに、今でも未練や悔しい思いが募ります。

 逃がした大物のお魚さんが、日増しに頭の中でその大きさを増して成長するかのように、土佐高が四国大会を逸した残念な思いはどんどん大きくなり、

「もし、昨秋のように粘り強く戦い、県予選で守り切って坊ちゃんスタジアムに来られたら、また2勝以上上げて、春のセンバツ出場の夢が膨らんだことだろうのに…。」

 と、またぞろ、くよくようじうじと未練がましい嘆き節が頭の中で堂々巡り。

 思い返せば、昨秋が良過ぎたのかもしれません。ミラクルの連続で、劣勢の試合も勝ち切っていく勝負強さが不思議とあり、心臓に悪い試合を、際どく競り勝って四国ベスト4という高みまで登り、私を何度も歓喜の渦に巻き込んでくれたことを、高校野球応援人生に於いて、大切なとびぬけて素晴らしい土佐高野球の奇跡の軌跡の物語として刻み込み、折に触れて思い出し、懐古の情に浸りたいと思います。