爽やかで清々しい疾風(はやて)

 孤軍奮闘の土佐高のエース・横田投手。気魄に満ち溢れたピッチングで、強打の明徳義塾高打線に立ち向かい、ダイナミックな投球フォームで伸びのあるストレートをズバッと投げ込みます。

 明徳最強の4番・谷合君を2度も三振に切ってとった場面は圧巻。胸がスカッとしました。

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 しかし、堅守で踏ん張るエースを盛り立ててしかるべき内野守備陣が…。明徳の堅実かつ華麗なる守備を目の当たりにしただけに、そのレベルの差に失意悄然。基本的に守備が下手なのか、準決勝での強敵相手に精神的に委縮したり緊張したりして、ビビって体がかちばって凡ミスしたのでしょうか。

 暴投やトンネルなどのエラーの連鎖で足を引っ張られたのでは、横田投手は可哀想です。そんな中でも、けっして腐らず、自分の持てる力を発揮して明徳打線に立ち向かうエースの姿とナイスピッチングは、秋からの新チームの躍進の中心になってくれるであろうとの期待を抱かしてくれました。実に頼もしいエースです。

 全国でもトップクラスの明徳のエース・市川君の剛速球と高速スライダーは、現時点の土佐の打力では到底打てないだろうことは想定済み。先日この目で見た高知工戦でのマックス148㎞の球など、甲子園でも打てる打者は居ないのではと思わせられたので、ひょっとするとノーヒットノーランをやられそうだとの嫌な予感を試合前には抱いていました。

 しかし、土佐の1番打者の福本君の打球が左中間の真ん中に上がり、レフトとセンターが交錯し、落球。記録が「H」と点灯され、ノーヒットは回避でラッキー。ヒットは結局、この1本でした。土佐打線がどうのこうのよりも、市川君の投げる球が凄すぎで、あれじゃあ、立教大学の打線でも打てないのではと思わせられます。

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 きっと、決勝戦高知商戦でも、快刀乱麻を断つピッチングで市商打線をきりきり舞いさせ、格の違いを見せつけてくれることでしょう。

 今日の準決勝は完敗でしたが、土佐高の今季のチームは本当によく頑張り、チームとして成長を遂げ、春から夏に見違えるように強くなり、土佐ファンを楽しませてくれました。

 思い起こせば、1年前の新人戦(選抜大会)では、1回戦で高知工に敗れ、秋季四国大会の県予選でも、初戦の2回戦で檮原高に敗退。公式戦で2大会連続初戦負け。暗澹たる気持ちにさせられましたが、春季ではミラクルの逆転サヨナラで高知高専を破ってからにわかに強くなり、準優勝。

 シード権がかかった県体でも奇跡の勝利などでベスト4。歓喜の第4シード獲得。これにより、夏季で他のシード校と2回戦で当たることがなくなり、今回のベスト4進出を演出してくれました。

 昨年の新人戦以降、ほとんどの試合、いや、全部の試合に球場に足を運んで応援し、楽しませてもらった立場として、感謝と感動の思いが湧き上がり、7回コールドで土佐の長くて短い夏が終わり、明徳の校歌を聞いた後、ベンチ前に整列してスタンドに挨拶してくれる土佐の選手のみなさんに、

「よう、やった~。」

 と声掛けしました。こちらをちらっと見てくださった西内監督さんには、

「お疲れ様~。」

 と声を掛けて、球場を後にするのでした。

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 早春から盛夏にかけて何度も吹き抜けた、土佐高野球の爽やかで清々しい疾風(はやて)。その余韻を味わいながら、8月末には、春のセンバツ甲子園の夢を思い描いて、ツクツクホーシの鳴き声を聞きながら、新たなる気持ちで土佐高野球の応援に馳せ参じようと胸を膨らませています。

 今日の明徳義塾戦で経験できた、甲子園の上位チームのレベルの戦いぶり。意識を高く持ち、甲子園で勝つチームに育つという「覚悟」のもと、練習時の一つひとつのプレーにまで魂を込めて、今年のチームを上回る実績をあげうるチームに育ってくださいね。

 いつも、いつまでも、土佐高野球を愛し、応援するものとして、心から応援しています。