追手前に「技量と精神力と人間性を兼ね備えた逸材」あり

 スポーツの秋にエンジョイ・ベースボール。朝から野球三昧の土曜日です。

 高知球場で午前10時プレイボールの高校野球秋季四国大会高知県予選2回戦、追手前高対岡豊高の観戦に、約1時間前から球場入り。我ながら本当に高校野球好きです。

 応援するのは追手前高。今春卒塾の教え子のM浦君が、1年生ながら先発出場するからには、燃えて応援しないわけにはいかないのです。

 岡豊高は強敵です。1ケ月前の新人戦(選抜大会)では、4-14(8回コールド)で完敗しています。10点差をいかにこの1ケ月で詰めてきたか、注目です。

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 M浦君は8番・センター。2回表からは、早くもリリーフとしてマウンドに立ち、私の応援の声にも熱がこもります。味方エラーがあってピンチを招きましたが、無得点に抑えます。

 3回には先発投手がマウンドに戻り、コントロールを乱し四球の連続で1安打で3点を献上。追手前高の監督さんは見切りをつけ、再びM浦君をマウンドに上げます。

 するとですね、M浦君は入学したばかりとは思えない度胸万点のピッチングで強打の岡豊高打線に付け入る隙を与えない神様的ピッチングを披露して私を感動させてくれるのです。

 2回の0に続いて、4~9回まで、000000と6回連続で相手打線を無得点に抑えるばかりか、ヒットすら打たせません。9回1死から初被安打で、任された回数のノーヒットノーランは逃しましたが、堂々たる投球ぶりには胸を揺さぶられました。

 M浦君は、マウンド度胸のみならずマウンドでの態度も立派でした。常に笑顔を絶やさず、しかも気魄を溢れさせて岡豊高の強力打線に挑みかかっていく姿は頼もしいったらありません。味方のエラーには自ら近づいていき、笑顔でドンマイドンマイの声がけ。マウンドの行き帰りには全力疾走。ボールは丁寧に相手投手に手渡します。

 これから、長く追手前のエースとしてマウンドを守ってくれていく期待に胸が膨らむと同時に、こんな技量と精神力と人間性を兼ね備えた逸材こそ土佐高野球部にほしかったと無念の思いまでも込み上げるのです。


○高知球場  【2回戦】

岡 豊 103 000 000 = 4
追手前 000 000 010 = 1

[岡豊]植田-山本塁
[追手]南・松浦・南・松浦 - 井上
二塁打〉堀内(岡豊)、柚村、森(以上追手)


 試合の経過報告に戻ると、追手前高は勝てる試合をみすみす落としました。岡豊高の好投手・U田君に対して鋭く振り切り、なんと12安打。これでわずか1点しか奪えないのには、首をかしげざるをえません。攻撃にもう少し工夫を凝らせば、岡豊高の4点を上回る得点は可能でした。

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 守備の方は、相手打者の特徴により守備位置を毎回変える頭脳的作戦を取り、何度か功を奏しピンチを脱しましたが、攻撃では絶好のチャンスに淡白な攻めで、せっかくの好機を何度もつぶしました。度重なる逸機で、残塁は山のよう。

 甲子園のかかる重要な試合なだけに、ベンチの采配をもっと緻密かつ大胆にして、相手にプレッシャーを掛け、1度でもビッグイニングを作って試合をひっくり返してほしかったです。

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 結局、1-4で敗れましたが、安打数は、12-3。これでは、相撲に勝って、勝負に負けたそのもので、追手前高応援サイドには残念無念の思いが渦巻きました。

 気になる点が2点。岡豊高の選手のみなさんの覇気の無さです。新人戦でのあの燃え上がるように気魄はどこに消えたのでしょうか。指導陣による鍛え過ぎ、命令し過ぎ、叱り過ぎ、命令し過ぎのきらいはないでしょうか。

 はつらつさや伸びやかさが失せ、どちらが格上かが分からなくなる元気のない打線の鈍い振り、塁を開けて進塁を許すボーンヘッドなど、気の抜けたようなプレーは岡豊らしくありませんでした。

 もう1点は、追手前の投手陣。有望新人である朝ケ丘中出身のM浦君のナイスピッチングはお見事の一言に尽きますが、これからずっと一人エースでは荷が重すぎます。将来性のある好素材だけに、下級学年からの投げ過ぎは、土佐高の好投手O崎君の高2時の夏のように故障に悩まされる危惧があります。

 追手前高の監督さんはそのことを懸念し、今日も背番号1の2年生に、1・3回を託し、M浦君の負担を軽減し、これからの追手前の屋台骨を3年間背負う彼を大切に守り育てようとする意志を感じました。それだけに、他の投手陣のみなさんの成長が待ち望まれるのです。